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舘野 春香; 佐藤 匠; 津幡 靖宏; 林 博和
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(3), p.224 - 235, 2020/03
被引用回数:6 パーセンタイル:55.67(Nuclear Science & Technology)階層型燃料サイクル概念に基づく、加速器駆動システムを用いた長寿命マイナーアクチノイド(MA)核変換技術の研究開発が行われている。MA核変換用燃料としては、窒化ジルコニウムを不活性母材とするMAとPuの窒化物固溶体が第一候補とされている。乾式再処理は、高い比放射能及び崩壊熱を有する使用済窒化物燃料から残留MAを回収する方法として適している。再処理プロセスの主工程である溶融塩電解精製により、使用済窒化物燃料が陽極溶解され、アクチノイドが液体カドミウム陰極に一括回収される。その際、MA回収率と回収MA中の不純物(希土類元素)濃度の目標値が達成できるように再処理プロセスを設計する必要がある。本研究では、プロセス設計において重要な知見を得るために、使用済窒化物燃料の乾式再処理における物質収支評価を行った。処理条件の変更による物質フロー及び発生廃棄物量への影響を調べた。
西村 一久; 庄司 修一*; 羽成 章*; 佐藤 誠一*; 木原 義之; 遠藤 秀男
JNC TN8430 2001-005, 64 Pages, 2001/09
先進的リサイクルシステムのMOX燃料製造法の有力な候補として外部ゲル化法がある。MOX試験の実施に先立ちウランを用いて基本的な機器の把握・製造条件の確認を行った。製造試験では基本的な条件の調査を行い、1)原料となる硝酸ウラニルの調製とPVA水溶液の調製試験を行い、適切な調製条件を調査した。2)液滴を生成するための滴下原液の調製、振動滴下装置による液滴生成に関する試験を行い、適切な振動数、送液速度を調査した。3)ゲル化反応の際の、原液組成、アンモニア濃度の影響を調査した。4)ゲル球の熟成・洗浄・乾燥条件について試験を行い、不純物の除去効果などを調査した。5)乾燥ゲル球の示差熱分析及び焙焼試験を行い、酸化物粒子を得た。このことで最終的な焼結粒子が得られる見通しがついた。また、特性評価などを行い、粒子直径の高い制御性や物質収支に関して技術的な問題がないことを確認した。本試験の結果、振動滴下装置を用いたゲル化法についてのMOX粒子製造試験を行う準備がほぼ整った。しかし、ゲル球の表面ひび割れなどの未解決課題については引き続きウラン試験を行い解決する必要がある。
住友金属鉱山*
JNC TJ6420 2000-005, 109 Pages, 2000/07
核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センターで発生するウランを含むフッ化カルシウム澱物からウランを除去し、フッ素を安定化させるプロセスについて、塩酸系処理プロセス及び硝酸系処理プロセスにおける物質収支、建設費及び操業費の比較検討を行った。物質収支について、2次廃棄物の発生量を比較すると、硝酸系処理プロセス工程-3が最も少なく、次いで酸素系処理プロセス、硝酸系処理プロセス、硝酸系処理プロセス工程2、同工程-1の順であった。建設費は、塩酸系処理プロセスが最も安く、次いで硝酸系処理プロセス工程-3、同工程-2動向停-1の順であった。操業費は、硝酸系処理プロセス工程-3塩酸系処理プロセス工程-2、同工程-1の順であった。さらに、殿物を直接乾燥し、減容化するプロセスについても同様の評価を行った。直接乾燥・減容化処理プロセスは、低コストで減容できるという利点があるが、ウランを分離していないため、将来その必要性が発生した際には、ウラン分離費用が新たに必要となる。
大滝 明; 小野 清; 篠田 佳彦; 辺田 正則*; 久保田 貞衣*; 平尾 和則
JNC TN9410 2000-006, 74 Pages, 2000/04
核燃料サイクルにおける物質収支を迅速かつ定量的に評価する目的で、サイクル諸量評価コード「FAMILY」の機能拡張、ならびに廃棄物中に含まれるTRUとLLFP(長寿命FP)の蓄積量計算コードの開発などを行った。実施内容は次の通り。(1)MAの収支計算が可能な「FAMILY-MA」を作成した。(2)FAMILYコードのポスト処理ツールを作成した。(3)汎用表計算ソフトを用いてサイクル諸量簡易計算ツールを作成した。(4)廃棄物中のTRU,LLFP蓄積量計算コードを開発した。
戸澤 克弘; 松本 俊一; 掛樋 勲
JNC TN9400 2000-052, 110 Pages, 2000/04
本研究は、従来のPurex再処理法と異なるシステム概念の乾式リサイクルシステム(乾式再処理)について、主要機器であるカソードプロセッサ(蒸留器)の蒸留挙動を模擬し、処理時間及び物質収支などを把握するための蒸留解析コード及び、プロセスセルの冷却挙動解析をパーソナルコンピュータ上で実施できるように解析モデルを作成したものである。これらは、乾式リサイクルシステム構築、評価のためのシステム解析ツール(設計ツール)開発の一環として行ったものである。カソードプロセッサ蒸留解析コードの作成にあたっては、検証計算としてベンチマークデータが公開されている2次元キャビティ内の自然対流問題のベンチマーク解と本解析コードでのパーソナルコンピュータ上での計算結果を比較した結果、よく一致することを確認した。次に、本解析コードの精度向上、作業効率向上を目的とした改良を行った上で、本解析コードを用いてカソードプロセッサを模擬した円筒状の密閉容器の体系にてCdの蒸留について蒸留解析を実施し、蒸留挙動がシミュレーションできることを確認した。乾式プロセスセルの冷却挙動解析モデルの作成に当たっては、ワークステーション上の詳細解析モデルとのベンチマーク解析からパーソナルコンピュータ上でも十分な精度でモデル化できることを確認した。定常解析によりセル内の流況と温度分布を確認した上で、非常時冷却過渡解析を行った結果、定常的にはヒートバランスがとれた条件であっても、初期の段階で過渡的な温度ピークが発生することがわかった。さらに過渡解析の最終的な定常値は非定常変動の部分的な循環流のでき方に左右され、現象自体の不安定さに影響される可能性があるため、セル空調系の設計にあたっては、冷却ガスのよどみ部に発熱に伴う循環流を起こさない設計とする必要があることがわかった。
岡村 信生; 米澤 重晃
JNC TN9400 2000-034, 48 Pages, 2000/03
現在、FBR(Fast Breeder Reacotr)の実用化を目指した研究開発が進められており、社会に受け入れられる核燃料サイクルを構築するために幅広い技術を対象に調査・研究が行われている。再処理に関しては、以前は使用済燃料からUとPuを効率よく取り出すことが課せられた唯一の課題であったが、現在、核燃料サイクルシステムを構築する上で再処理に求められる事項は多岐にわたり、それらの要求へ十分に答えていく必要に迫られている。再処理技術の幅広い検討の一環として、LWR(Light Water Reactor)とは異なりFBRでは低除染の燃料が許容されることから湿式再処理のみではなく乾式再処理の研究が始まり、溶融塩や液体金属を用いた電解・抽出、元素間の蒸気圧差を利用した揮発・凝縮等の様々な手法を組み合わせたプロセスが提案されている。乾式再処理は湿式再処理ほど実証プラントの経験が多くないため、工学規模のプラントを考える上ではプロセスフロー等に未だ多くの検討余地がある。そこで乾式再処理システムの設計を行う上で最も基本となる物質収支を解析・評価する時には、工程の追加等の変更に対して柔軟に対応する必要がある。本研究は、この要求を満たす乾式再処理の物質収支評価コードを開発することを目的としている。
韋 悦周*; 新井 剛*; 熊谷 幹郎*
JNC TJ9400 2000-002, 80 Pages, 2000/02
本研究は、革新的技術アイデアにより経済性の高い高速炉燃料(MOX燃料)再処理プロセスを構築することを目標に、溶媒抽出法以外の湿式分離法として、イオン交換法による再処理プロセスの成立可能性を検討することを目的としている。そのため、これまでの基礎研究で得られている知見を基に、FBR燃料サイクルの特徴を踏まえたイオン交換法を中心とする再処理プロセスを策定した。本プロセスは、高速アニオン交換体を用いるイオン交換分離主工程および高選択性含浸吸着剤を用いる抽出クロマト法によるマイナーアクチニド分離工程より構成されている。策定したプロセスについて、処理規模200tHM/yの再処理プラントにおける分離工程のケミカルフローシート、物質収支図、主要機器のリストおよび各設備の配置概念図を作成することにより、主要工程における主要物質(含主要試験、廃棄物)の物流/物量、主要機器の概念/大きさおよび数量等を明らかにした。また、経済性、資源の有効利用性、環境負荷低減性および核拡散抵抗性の観点から本プロセスと簡素化ピュレックスプロセスとの概略比較を行い、それぞれの得失を評価した。さらに、実用化プロセスとしての成立性を高めるための技術的課題を摘出した。
半沢 正利*; 森岡 信男*; 麓 弘道*; 西村 建二*; 近沢 孝弘*
JNC TJ9400 2000-001, 112 Pages, 2000/02
本研究は、革新的技術アイデアにより経済性の高い高速炉燃料(MOX燃料)再処理プロセスを構築することを目標に、配管施工に係わるコストを大幅に削減できるパイプレスプラントの概念を導入し、且つ溶媒抽出法以外の湿式分離法も考慮した新しいプロセスの可能性を探ることを目的としている。そのため、まず、沈殿法、晶析法、イオン交換法及びパイプレスプラントについて文献調査を行い、これを基に、以下の湿式分離法を採用したプロセス要件に適合するプロセスフロー案の検討を実施した。(1)晶析+過酸化水素沈殿法プロセス(2)シュウ酸沈殿法プロセス(3)マイルドな条件の再処理法プロセス(晶析+沈殿法)(4)晶析+イオン交換法プロセス(5)晶析+溶媒抽出法プロセス上記検討プロセス及び従来プロセスについて、パイプレスプラントへの適合性、安全性、経済性、資源の有効利用性、核不拡散性及び運転・保守・補修性の観点から得失評価を行い、最も合理的なプロセスとして(1)晶析+過酸化水素沈殿法プロセスを選定した。選定プロセスについて、臨界安全評価を行うとともに物質収支図、プロセスフローダイアグラム、主要機器リスト及び移動槽・ステーションの配置概念図を作成することにより、主要物質の物流/物量、主要機器の概念/大きさ及び数量等を明らかにした。
広田 耕一; 箱田 照幸; 新井 英彦; 橋本 昭司
Radiation Physics and Chemistry, 57(1), p.63 - 73, 2000/01
被引用回数:35 パーセンタイル:88.42(Chemistry, Physical)初期濃度およそ20ppmの空気中クロルベンゼンに対して、4,8kGy及び4kGyにアンモニアを加えた場合の3種類について、塩素と炭素のマスバランスを調べた。その結果、4kGy照射により、除去されたクロルベンゼンのおよそ65%が脱塩素化していることがわかった。この値は8kGyでもほぼ同じとなった。アンモニアを加えることにより脱塩素化は促進され、およそ80%となった。また、クロルベンゼン分解により生成したガス状の物質を分析した結果、ギ酸と無機炭素の量が全ガス状物質のおよそ70%を占めることがわかった。さらに、FTIR等による分析により、ガス状物質の生成には脂肪族系酸化物が、エアロゾルの生成には有機窒素酸化物がそれぞれ関与していることがわかった。
児島 慶造; 後藤 博幸; 福田 好博*; 三林 健次郎*; 正木 敏夫; 小林 洋昭; 浅野 博之*
PNC TN8410 98-041, 185 Pages, 1998/02
高性能溶融炉の一環として、1996年6月から7月にかけて円筒電極直接通電型溶融炉工学試験装置(JCEM工学試験装置)の第9回試験(JCEM-E9試験)を実施した。本試験では、白金族元素を含む模擬廃液(高模擬度廃液)を用い、JCEM工学試験装置における白金族元素が運転に及ぼす影響について評価を行った。その他、電極侵食量、固化ガラスの品質等、基本的な運転特性についても併せて評価を行った。JCEM工学試験装置は主要炉体を金属製電極および耐火レンガで構成したジュール加熱型溶融炉であり、溶融ガラス中に挿入した内部電極と外部電極間で通電してガラスを加熱するものである。外部電極は補助加熱炉の発熱体により加熱することが可能である。補助加熱炉は主に断熱材で構成され、金属製のケーシングで覆ったものである。本装置の溶融表面積は0.35㎡で、TVF溶融炉0.66㎡の約2分の1の規模である。本試験では、合計で13バッチのガラス製造運転を行い、3663㎏のガラスを製造した。試験の結果、JCEM工学試験装置の高模擬度廃液での処理能力は、ガラス製造速度で4.205.60㎏/hにあると判断され、低模擬度廃液を用いたJCEM-E8試験での結果よりも20%以上低い値であることが確認された。これは、溶融ガラス中の白金族元素の濃度分布の差による電流の集中が主な原因と考えられた。白金族元素の抜き出し性については、バッチごとの収支、およびドレンアウト後の炉内残留ガラスの観察より判断して良好な結果を得た。製造されたガラスの品質についてもTVF標準ガラスと比較しても有意な差はみられなかった。
松本 史朗*; 田嶋 靖憲*; 古閑 二郎*; 宮原 由香理*
PNC TJ1609 98-001, 26 Pages, 1998/02
再処理プロセスの運転において生成、消滅する微量成分、特にアジ化水素酸のプロセス内挙動について数値シミュレーションによる検討を行った。アジ化水素酸のマスフローシミュレーションについて、前年度までに開発されたコードに、放射線およびテクネシウムの存在下でのヒドラジンと硝酸イオンとの反応によるアジ化水素酸の生成およびその分解を組み込み、抽出器の全体での物質収支式を解くように改良を行った。またシミュレーションに使用するモデルプラントについても東海再処理工場を対象として、現実に近い条件を設定して検討した。シミュレーションの結果、溶媒洗浄工程廃液中のアジ化水素酸の濃度はプロセスの値とほぼ一致しており、その値は安全基準と考えられている濃度の1/10であることを示している。
本間 俊司*; 田嶋 靖憲*; 古閑 二郎*; 松本 史朗*
PNC TJ1609 97-001, 47 Pages, 1997/02
再処理プロセスの運転において生成、消滅する微量成分、特にアジ化水素酸のプロセス内挙動について数値シミュレーションによる検討を行った。また、アジ化水素酸のモニタリングに必要な分析方法について文献調査を行い、気相および水相で測定可能な方法について検討を行った。さらに、再処理プロセスの運転時に生ずるアジ化水素以外の微量生成物について文献調査を行った。アジ化水素酸のマスフローシミュレーションコードは、昨年度までに開発されたコードに、アジ化水素酸のTBPへの分配係数推算式を組み込み、抽出器の各ステージごとの物質収支式を解くように改良を行った。また。シミュレーションに使用するモデルプラントについても、より現実に近い条件を設定した。シミュレーションの結果、アジ化水素酸がプロセス全体に拡散する可能性が示唆され、その防止策を明らかにした。アジ化水素酸に関する既住の分析方法について調査し、それらの特徴をまとめ比較検討を行った。アジ化水素酸は非常に不安定な物質であり、再処理プロセスの抽出工程に存在する妨害成分によって分析の精度が左右されるため、複数の方法を使用することが望ましいと結論された。アジ化水素以外の微量生成物については、溶媒劣化生成物および硝酸に由来する微量成分について調査を行った。
河村 繕範; 西川 正史*; 白石 朋史*; 奥野 健二
Journal of Nuclear Materials, 230, p.287 - 294, 1996/00
被引用回数:43 パーセンタイル:94.61(Materials Science, Multidisciplinary)リチウムセラミックブランケット内で増殖されたトリチウムを回収する際、スウィープガスに水素を添加し、同位体交換反応を用いて回収する方法が提案されている。ところが酸化リチウムに高温で水素を接触させると水素が酸化されて水になるという現象が九州大の西川らにより報告された。それによると発生水分量は、ブランケット内のトリチウム物質収支に影響を与えかねない量である。そこで今回、トリチウム増殖材候補である酸化リチウム、リチウムアルミネート、リチウムシリケート、リチウムジルコネートを試料として用い、水素と接触させた際の発生水分量、反応速度を定量した。本報告では、これらの実験結果について発表する。
H.-R.Paur*; 南波 秀樹; 徳永 興公; H.Maetzing*
Aerosols: Science,Industry,Health and Environment,Vol. 2, p.745 - 748, 1991/00
電子線照射乾式除去法における、窒素ならびに硫黄成分の物質収支を求めるために、日本原子力研究所ならびに西独カールスルーエ原子力研究所(KfK)の双方で実験を行い、シミュレーション計算との比較を行なった。その結果、エアロゾルならびにガス中での、窒素と硫黄成分の完全な物質収支が得られた。
永石 隆二; 井上 将男*; 近藤 孝文*; 神戸 正雄*; 吉田 陽一*; 桑野 涼*
no journal, ,
海水等の塩化物イオンが溶存する水溶液系では塩化物濃度が高くなると、塩化物の放射線分解(直接作用)だけでなく、水の分解生成物のプライマリ収量の変動(間接作用)が起きる。このため、水と塩化物由来の生成物の収量は塩化物濃度に依存して変わるが、それらの物質収支は依存せずに保たれている。ただし、二次反応等で生成物の複雑さが増すため、時間経過等に伴い物質収支の評価は困難になる。そこで本研究では、低LET放射線を用いた実験の結果をもとに水溶液系の分解生成物の物質収支を評価するとともに、関連する文献値等の検証を試みた。
舘野 春香; 佐藤 匠; 津幡 靖宏; 林 博和
no journal, ,
原子力機構は、加速器駆動システムによるマイナーアクチノイド(MA)核変換にウランを含まない窒化物燃料を用い、溶融塩電解法による乾式再処理を行う核変換燃料サイクル技術の開発を行っている。使用済燃料を陽極溶解し、液体Cd陰極にアクチノイドを一括回収する溶融塩電解精製プロセスでは、回収物中に希土類元素(RE)が不純物として含まれるが、回収物を原料として製造する燃料中のREはMAに対して5wt%程度以下にする必要がある。本研究では、塩浴中のREを除去する塩再生工程を付加した溶融塩電解プロセスについて、回収MA中のRE不純物濃度及びアクチノイド回収率の目標値(5wt%及び99.9%)を満たすための塩再生工程の条件を検討するため、窒化物燃料の乾式再処理プロセスの物質収支評価を行った。